みちともブログ

一部上場企業でシステムエンジニアとして情報社会の第一線で15年間働き、さらにその後17年間高校教師として教育現場の最前線で子供たちの教育にあたって、さまざまな経験を積みました。社会人経験者教員としての経験をもとに、みんなの暮らしや教育の課題・悩みを解決する方法を紹介します。

新型コロナウイルス対応で関心が高まっているオンライン授業について

オンライン授業

 新型コロナウイルスの感染防止のため、全国の小中高校が臨時休校になっている今、自宅で学べるオンライン授業の関心が高まっています。

 

 オンライン授業とは、インターネット等の通信回線を通して行う、時間や場所に縛られない授業の方法です。通信インフラの5G化、AIの導入など情報技術の進化に伴い、今後、さらに利用の拡大が期待されています。

 

 しかしながら、社会ではオンライン授業のメリットだけが強調されていて、課題について目が向けられていないように感じます。

 

 ところで、私は、システムエンジニアとしてシステムを作った、教師として使った、オンライン授業を受けたという、3種類の体験があります。

 

 そこで、この3種類の体験をもとに、オンライン授業の課題などをお話しします。

 

システムを作る側の体験から

講師と生徒がリアルタイムで質問と回答のやり取りできるようにするため、適切な回線速度、機器が必要でした。

 20年以上前のことです。

  キャンパスが分散していた大学から、生徒を移動させないで、一斉授業を行いたいとの要望がありました。

 講義では、先生がいきなり質問する場合もあれば、生徒の質問したそうな様子を見て先生が生徒を指名することもあります。また、勇気のある生徒は、自ら手を挙げて質問します。

 その時に客先から言われたことが、

「講師と生徒がリアルタイムで質問と回答のやり取りができるようにしてほしい。なぜなら、それができないと生徒が授業に参加している気持ちになれない。そして、授業の効果が出ない」ということでした。

 そのため、大変苦労して提案書を作成しました。

 今では、回線の速度もはるかに上がっていますし、すべての機器の性能が上がっています。

 それでも、人間のコミュニケーションは複雑です。講師や生徒が授業に参加している気持ちになるようにするには、適切な回線速度、機器が必要ことは今でも同じだと思います。

 

システムの細かな管理が必要でした。

 これも20年以上前のことです。

 オンライン授業の推進に積極的な某市に、遠隔授業システムの利用の様子を調査に行きました。

 そこで、市の運用管理者から、コンピュータの不都合等があると授業がつぶれてしまい、また、その授業だけでなく全体の授業計画に影響が出るので先生から苦情が出て大変だと言われました。そのため、市では、いつでも生徒全員が、コンピュータシステムを使えるように、定期的に調べ修理して管理することに苦労しているとのことでした。

 

教える側の体験から

使いたい時に予定通り使えないと、授業の効果が出ませんでした。

 遠距離の2地点にいる生徒同士が、お互いの学んでいることを紹介し合う公開授業に参加しました。いわば、TV会議による授業です。

 生徒同士の違いや共通点を知る機会となり、生徒の視野を広げる意味で効果のある授業でした。

  しかし、当時、2地点間の機器の調整に時間がかかり、15分ほど遅れて始めました。そのため、35分だけ授業を実施したところで打ち切りになりました。

 とても、お互いの存在を知ることはできましたが、お互いに話し合う時間がなく中途半端な授業になりました。

 時間が予定の7割になったら、効果も7割になるわけではありません。ほとんど、効果がなくなることもあります。

 そのため、使いたい時に予定通りシステムを使えないと、授業の効果が十分発揮できませんでした。

 

一方的な授業では、効果は期待できませんでした。

 某会社のDVDを補習の時間に流しました。

 講師はとても有名な予備校の講師で、私から見れば、とてもわかりやすくおもしろい授業でした。

 しかし、まじめに見て学習している生徒もいましたが、とりあえず見ている(頭の中に入っていないように見える)生徒が多くいました。

 注意したくとも、40名いるので注意のために動画を止めるわけにいきません。

 一斉に授業動画を流すだけで、主体的に生徒が動かない(ノートをとるだけの)授業の限界を感じました。

  

生徒が利用するように仕向けるサポートが必要でした。

 家庭学習のために、生徒がアプリからサーバーにアクセスして授業動画をみて学習するシステムについてです。

 生徒の利用状況を調べました。

 学習意欲の高い生徒はよく利用していましたが、全体としては期待したほど利用されませんでした。

 もともと、学習意欲の低い人には不向きだと感じました。

 教師は、生徒が利用するように仕向けることが課題でした。

 

教わる側の体験から

強制されないと使う気になりませんでした。

 サーバーにアクセスして情報セキュリティについて学習することが、会社から社員全員に指示されました。

 このときは、仕事の合間にサーバーにアクセスして学習しました。

 内容はつまらないものでしたが、上司に常に部下の受講状況が送られ、受講していないと上司から受講するよう言われるので受講しました。

 強制的に知識を詰め込み、対象の人に確実に教育をした証拠を残す意味ではオンライン授業は有効でした。しかしながら、学校のように、生徒が主体的に学ぶ意欲を育てるためには不向きだと思います。

  

体験から思うこと

 私がシステムエンジニアをしていた時に比べ、さまざまな技術的課題が解決されています。しかしながら、オンライン授業では、生徒が主体的に授業に参加する意欲がないと効果がないことは、昔も今も変わっていません。

 学校の授業では、生徒に授業に参加するよう、教師があの手この手の工夫をしています。しかし、現状、システムを作る側が、アプリにチャットやゲームなどの要素を入れても効果が出ていないようです。

 そのため、オンライン授業システムを利用する場合には、生徒の保護者や学校の教師が生徒にやる気を起こさせることが重要になっています。

 決して、オンライン授業が学校の授業の代替にはならないこと。また、生徒にやる気を起こさせる、身近にいる者のサポートが必要なシステムであることを忘れてはいけないと思います。

 

まとめ 

 システムエンジニアとしてシステムを作る、教師として使う、システムを使って授業を受けた3つ体験で感じたことを紹介し、オンライン授業の課題について述べました。

 オンライン授業は、学校の授業の代替にはなりません。オンライン授業を利用する場合には、生徒へのやる気にさせる、保護者や教師の工夫が、重要なことを述べました。

 システムエンジニアの経験から、技術の進歩によって、オンライン授業は、ますます使いやすくなると思います。しかしながら、オンライン授業の利用については、子供任せにせず、保護者や学校の教師による言葉かけが重要です。

 

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